昔話 その5

と、いうわけで。
「Selen」は某社配下のブランドから独立して、これまでの制作チームがベースとなるスタッフが引き継ぎました。
そこで自分もお誘いを受けて、20世紀最後の年のミレニアムに、外注から新生Selenの母体となる会社の内部スタッフになります。

内部スタッフとしての最初の仕事は「DEEP/ZERO」でした。
いや、厳密に言うと、その前に姉妹ブランドとして立ち上げたところから出す純愛作品のシナリオをテコ入れしたのが初仕事だったんですが、まあこれは黒歴史ということでw

で、「DEEP/ZERO」です。
まずはSelenブランドを繋ぐため、新作は早めに出す必要がありました。
すでに調教SLGを得意にするというブランドイメージは定着していたので、ひとり調教にしぼったものを迅速に低価格で出すという戦略をとりました。
開発自体は大きく難儀したという記憶はなく、大幅に開発スケジュールがずれることはなかった感じがします。

ただ、ですね……

Selenと名乗っていても組織は違うので、流通会社からの信頼がありません。
しかも、前記した姉妹ブランドの作品がまあ売れませんでしたので、初回発注数が少なかったのです。
ぶっちゃけると、「DEEP/ZERO」の初回発注数は5000本ありませんでした。低価格作品なのに少ない。少なすぎる。けっこう事態は深刻で、おいおいこのあとどうするよ? 的な会議をした記憶もあります。

しかし、だがしかし!

ユーザーのみなさんはSelenを見捨てていませんでした。
発売日の午前中に完売してしまう店舗が多数発生し、慌てた流通からの追加発注FAXがひっきりなしにやってきました。
ものを売る商売でこれほどの逆転劇を味わったのは、あとにもさきにもこれが最大級だったような気がします。
結果、「DEEP/ZERO」は2万本近いセールスになりました(廉価版含まず)。

この成功体験があって、Selenは調教SLGというジャンルにどんどん傾倒していくようになります。

つづく。